特典小説文豪ストレイドッグスBEAST-白の芥川、黒の敦-ネタバレと感想

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こんにちは、自由にいきたいライター凛(りん)です。
文ストにハマっております。

遂に読み終わりました!

映画文豪ストレイドッグスDEAD APPLE(デッドップル)の数量限定特典小説『BEAST-白の芥川、黒の敦-』
感想なのですが、「特典小説でこの内容はすごい!」です。
笑える部分もありましたが、シリアス、戦闘シーンもすごかったですし、切なさもありました。

この小説は『if』つまり『もしも・・・』の世界が描かれています。

【小説内容・感想】
太宰さんがポートマフィアに芥川をスカウトせず、敦をスカウト。
鏡花ちゃんは敦とともにポートマフィアに所属。
そして餓死しかけの孤児として武装探偵社員の織田作に保護され、武装探偵社に所属した芥川。
ポートマフィア首領の森さんはすでに死没しており、現在の首領は太宰さん。
芥川の妹、銀さんは太宰さんに誘拐されてそのままポートマフィアに。
首領である太宰さんの補佐役として秘書をつとめています。

小説では探偵社に所属した芥川について、他の探偵社員たちと共に過ごす日常の風景が多く書かれているなと感じました。
本編の芥川は、見ていて「ほっこりする」という場面はなかなか見つけられませんが、この小説では「ほっこりする」場面や、顔を見ることができました。
顔つきは相変わらずの凶悪犯、鋭い目つきで谷崎さんや国木田だんを怯えさせていましたが・・・

賢治君と田植えをしたり(作業服、田植え靴、麦わら帽子を着用した様子)
異能力で田植えをするようになったり(田植機と速さを競いながら)
日焼けしたことを何故か認めなかったり(「日焼けした?」「せぬ」)

書類、報告書の作成や提出が嫌い(「敵は何処だ?・・・刻み捨てる・・・書類も刻み捨てる」「やめて!」)
子供への質問が怖い、脅す、国木田さんから注意される(「脅すな阿保!」)

与謝野さんの「治癒」を受けることに怯えて隠れたり(「僕は耐えた・・・四度までは・・・」)

織田作の代わりに子守りをしたり(授業参観、羅生門で子供たちをあやす)

芥川の凶悪犯のような見た目からは想像できない、なんとも言えない可愛さ、純粋さ、面倒見のよさを感じることができました。
この和やかなシーンお気に入りです。

そして敦が首領太宰さんからの手紙を、探偵社に届けに来たことで話は一転して緊迫した状況へ変わります。
太宰さんからの手紙には芥川の妹である銀さんの写真と、銀さんの処刑日時が記されていました。

芥川は銀さんを取り戻すためすぐさまポートマフィア本部へ突入します。
真正面からの突撃。
本編でも十分強い芥川ですが、小説でもその強さが際立ちます。
敵を刻み捨てる姿勢も変わりません。
目的達成の為には手段も選びません。
銀さんを助けるという目的の為にどんどん敵を倒し、鏡花ちゃんを人質にとり進んでいきます。

敦に道案内をさせてたどり着いたところで、ずっと捜していた生き別れの妹銀さんと対面。
しかし銀さんは芥川のもとに戻ろうとはしません。
銀さんが芥川のもとに戻れば、戻った銀さんを理由にして、芥川が「破壊」を繰り返すのではないかという思いから。

芥川は幼少期は殺された仲間の復讐を理由に、銀さんが連れ去られてからは銀さんを取り戻すことを理由に、「破壊」を繰り返してきたのですね。
芥川は銀さんに言われたことを否定しながらも、銀さんを納得させる「答え」を導き出すことができませんでした。
銀さんは自分が処刑されると知っていながら、自分が処刑される代わりに芥川を助けてもらうよう首領太宰さんにお願いをすると言って駆けていきます。
その後を芥川は追いかけます。

その頃、一方では織田作がポートマフィアの会計係である老人と会う約束の為、とある酒場へ向かっていました。
その酒場では、芥川兄妹がポートマフィア脱出後、無事でいられるようポートマフィアを脅す情報を得る予定でした。
しかし酒場にいたのは老人ではなく、ポートマフィア首領太宰さん。
二人はここで初めて出会い、お互いに名前を名乗ります。
太宰さんは「織田作」と呼び、念願叶って不発弾の処理をしたこと、織田作に食べさせようとしていた堅豆腐の改良が完了したことを、それはそれは楽しそうに、嬉しそうに話します。
そして織田作の書いた小説が賞を受賞したことを祝福。
そこで織田作が本題を切り出し、話は芥川達のことに。
太宰さんは芥川がポートマフィアを生きて出られたら、その後は一切危害を加えない、そのつもりは無いことを伝えます。
そして「本来の世界」では織田作と太宰さんが友人であったこと、この酒場でよく一緒にお酒を飲み、語り合っていたことを伝え、織田作に「さよなら」を告げて酒場を後にしました。

そして芥川と敦ですが、こちらでは激しい戦闘が繰り広げられています。
どちらも鬼のように強いです、激しすぎます。
しかしそんな戦いにも終わりが遂に訪れます。
探偵社員として最後の力を振り絞った芥川が敦に最後の一撃をくらわせます。
この勝負は芥川の勝利という形で幕を閉じました。

するとそこに太宰さんが登場し、ふたりの戦いをたたえます。
そしてこの戦いは4年半前、芥川の妹銀さんを連れ去り、敦をポートマフィアにスカウトした時から設計されていたと言います。
それもすべては「ある本」の為に。
「書いたことが現実となる本」
この「本」を手に入れようと、これからあらゆる敵が押し寄せる。
そしてふたりには、その敵を排除し、「本」を守り、「この世界」を守ってほしいと言う太宰さん。
その為にもふたりの力が必要で、お互いを戦わせ「死の淵」で、お互いが何者なのか理解させる必要があったと言う。
そしてこの「本」のことを同時に3人以上の人間が知ると世界が消滅する可能性が高くなると言った太宰さんは、芥川と敦に「任せたよ」と言って、ビルの縁を超えて重力のまま下へ・・・

太宰さんの望みはただ一つ。
友人である織田作が生きて、小説を書いている、唯一のこの世界を守ること。
その為だけにあらゆることを、この世界でやってきた。
ただ一つの心残りは、織田作がいつか完成させる小説を読むことができないこと。

【最後に】
太宰さん、異能力を使って「本来の世界の記憶」を受け取ることに成功し、本来の世界では死んでしまった友人の織田作が生きていて、織田作の夢だった「小説を書く」ということが実現できている世界を何としてでも、何を引き換えにしても守りたかったんですね。
自分の命と引き換えにしても。
そして織田作の小説、太宰さんはどれほど読みたいと願ったことか・・・
とても切ないです。
酒場での織田作とのシーンも嬉しさ半分、切なさ半分です。
生きている織田作とまた会えて、話ができる嬉しさ。
でも織田作からしたら、太宰さんは友人でもなんでもない、初めて会った他人、しかも敵組織であるポートマフィアの首領。
慣れ合うなんて、親しく話すなんて考えられない相手です。
あぁ、切ないです。
切ないですけど、また読みたくなる小説でした。
それぞれの思い、今まで見てきた面も見ることができたけど、見れなかった面も見ることができたなと感じました。

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