こんにちは、自由にいきたいライター凛(りん)です。
幸色のワンルーム4巻が発売され、お兄さんの本心を知ることができたのをきっかけに、1巻から順番に読み返しています。
今回は3巻の内容をまとめていきたいと思います。
【内容】
お兄さんが買い物から帰ると、アパートの部屋の前には警察官が二人。
行方不明になっている幸に関する情報提供の呼びかけと、捜索の為に近所を回っているとのこと。
詳しく話したいから玄関に入れてほしいと検察に言われて、焦るお兄さん。
なんとか警察を部屋に入れることを避けるように、言葉を並べる兄さんを警察の一人が怪しみます。
そして「見せたくない物でもあるのか」と問われたお兄さんは、仕方なく玄関の扉を開けます。
すると、部屋にいるはずの幸も、壁一面に貼られていた幸の写真も、何もありません。
警察からの疑いは晴れましたが、何もない部屋を見てお兄さんは呆然とします。
そして幸の最近の様子を振り返り、謎の誘拐犯の動画を見てから幸の様子がおかしかったと考えます。
そして「幸が愉快犯の正体に気付いたとしたら・・・?」という考えにいたります。
その頃、幸は学校の掃除用具庫に来ていました。
そこには幸の担任でもあり、幸にセクハラをしていた、形切診(かたぎりしん)がいました。
幸の考え通り、動画サイトに誘拐犯を名乗り動画をアップしていたのは形切でした。
幸は「誘拐犯に監禁されて私すごく怖かったんです!!」と形切に駆け寄り言います。
そして形切と一緒に暮らしたい、その為には世間の誘拐事件への関心を薄くする必要がある、だから動画を全部消してほしいと頼みます。
一瞬、幸の頼みを聞く素振りをみせる形切ですが、すぐウソだと見破られてしまいます。
そして形切は言います。
「その優しい誘拐犯さんは本当に善人なんでしょうか?」
「親の虐待を通報し、君を保護または施設に預けるなど・・・犯罪に手を染めなくても君を幸せにできるはずなのに、どうしてそうしないんでしょうかね」
「結局、誘拐犯さんも君の本当の幸せなんて願ってない。君は上手く利用されたんだ。君に味方はいないようですね」
それに対して幸は言います。
「それが何?自分の味方は自分だけで十分でしょう?「私の幸せ」を邪魔しないなら、好きに利用すればいい」
「私だってそうだ。私は・・・自分の幸せのためにあの人を利用してる。私たちはそういう関係」
そして形切が幸を呼び出した本当の目的は何かと尋ねます。
それに対する形切答えは「僕が本物の誘拐犯になる」というものでした。
「妬けちゃうなぁ、他の男の家に住み込んでるなんて」
「ずっと誘拐犯が羨ましかった。場所も時間も考えず、君とずっと一緒にいられるんだからね」
そう言いながら幸を襲おうとする形切。
すると急にパシャパシャ!と眩しいカメラのフラッシュが。
そこには倉庫のカギを開けて入って来たお兄さんがいました。
形切と幸のやりとりをカメラに収め、そのカメラのデータと引き換えに幸を返すよう形切に迫ります。
データが利用されてしまえば、形切は生徒へのセクハラで警察に捕まってしまいます。
形切はデータを受け取り、幸はお兄さんのもとへ返されました。
そしてお兄さんと幸、二人が倉庫を去ったあと、形切は「ここで僕が通報して刑務所送りだ」とお兄さんのことを警察に通報しようと携帯を取り出します。
すると倉庫へ警察がやってきました。
お兄さんが事前に警察へ連絡を入れていたのです。
「誘拐事件の容疑者であると通報がありました。詳しく話を聞きたいので署まで同行願えますか?」
「僕じゃない!!僕は何もしてない!!!あいつらだ!!!あいつらを追え!!!」
と叫びながらも形切はその場で手錠をかけられ連行されてしまいました。
お兄さんとアパートへ帰っている途中、幸が寄り道をしたいと言い、たどり着いた先は今は使われていないホテルでした。
そして幸が先頭を行き、お兄さんを連れて行ったのはホテルの中の結婚式場。
そして幸は言います。
「ねぇお兄さん、ここで結婚式しよう!」
「お兄さん、あなたはそんな時も幸を愛し、幸のために生きて、「一生幸せにする」と・・・言ってくれました。あの言葉は本当だと誓いますか?」
それに対してお兄さんはこう言います。
「僕はこの結婚式ごっこに意味があるとは思ってない」
「今までの生活は全部幸せごっこだ・・・ていうのは幸もわかってたでしょ?でも今の君は僕に本当の幸せを求めてる」
そして続けます。
「君を誘拐する気はなかった」
「僕のことを話したら、僕が『都合のいいお兄さん』じゃなかったことを知ることになる」
一方、幸の家には私立探偵の松葉瀬(まつばせ)が来ていました。
幸の母親が幸の捜索依頼をした為です。
そして幸の部屋が見たいという松葉瀬を幸の部屋に案内します。
幸の部屋には不自然な傷がついた壁と、床がありました。
それについて質問をすると取り乱す母親。
そして幸の家を出た松葉瀬は助手の八代(やしろ)に言います。
「あの親、娘を虐待してたよ。しかもあれは最悪のケース。あいつからは子供に対する悪意しか見えない」
「あの親にとって娘は、ただ一般的な家庭を演じる道具だな」
「久しぶりに会ったなぁ、子供を監禁する親とか」
「警察に先に見つけられたら、普通にあの家に戻されて、彼女はまたあの親に虐待されるだけだ」
「オレらが先に見つけなくちゃ」
【感想】
形切が言葉巧みに幸をお兄さんからさらっていってしまいそうで、前半はハラハラでした。
でもそんな言葉に惑わされることも無く、幸は自分の気持ち、考えを貫きましたね。
幸とお兄さんは「自分の幸せ」のためにお互いを利用し合って、お互いに依存し合っている関係。
でも今回、自分の身の危険を冒してまで幸を助けに来たお兄さんをきっかけに、幸にまた新たな気持ちが芽生えました。
それは「お兄さんのくれる幸せじゃなくて、お兄さん自身に興味を持った」ということ。
今までは、お兄さんが与えてくれる幸せな生活だけあれば、それだけで良かった幸。
それより多くのこと、それよりも先を求めるなんて、そんな気持ちは湧いてこなかった。
幸が変化しました。
この変化は、これから先お兄さんに与える影響も大きいのではないでしょうか。
幸がどんどん成長していく!幸からはたくましさを感じます。
幸と一緒にお兄さんがこれからどう変わっていくのか・・・今後の展開も楽しみです。
そして私立探偵の松葉瀬が出てきました!
かなり観察力が高く、観察したものからの推理力が高いです。
松葉瀬がお兄さんと幸をどう追い詰めていってしまうのか・・・
二人が幸せなまま話が展開していってほしいものです。
